あすなろブログ

【かぶとむし】しいたけ栽培の廃菌床からかぶとむしを育てる挑戦!

子供達に人気で、夏休みの自由研究としても飼育・観察される「カブトムシ」。
しいたけ屋とカブトムシ、意外な組み合わせだが、しいたけ生産販売の会社がカブトムシを育てています。

菌床は、カブトムシが好む広葉樹のオガクズなどで作られており、昆虫の羽根等を作る栄養素のケイ素がたっぷり含まれています。
しいたけを育てた後の廃菌床は、昆虫の幼虫を育てるのにピッタリの環境だったのです。
捨てるはずのものを有効活用できないかとしいたけ屋の新たな挑戦がはじまりました。

しいたけを収穫した後の大量の廃菌床

菌床栽培はしいたけの生育も安定しており、原木栽培よりも短期間で収穫することが可能で、1年中栽培が出来るというメリットがあります。
しかし、菌床は二度の収穫が終わると産業廃棄物としてお金をかけて処分する必要があります。

廃菌床は収穫できるしいたけの2〜3倍(重量比)の量が発生するため、お金をかけて廃棄するよりは、再利用することが出来れば、経営の面でも環境の面でもメリットとなります。
そこで、栄養がまだまだ残っている廃菌床・・・何か活用できないかと考えました。

廃菌床で幼虫を育てる取り組み

廃菌床を砕いて発酵させ加工することで、昆虫の幼虫を育てる昆虫マット(栄養土)を作ることができます。
廃菌床にはカブトムシやクワガタなどの幼虫を大きくする栄養が含まれており、目が粗く通気性が良いため劣化しにくい、非常に効率的な再利用ができます。

シイタケ栽培にはもう使えなくても昆虫にとってはまだ養分が残っているのです。

そもそも菌床とは?

先ほどから名前の出てきている菌床とはどんなものか詳しく説明していきます。
菌床は元々、きのこを人工栽培する為に作られた、きのこ菌を蔓延させたオガ屑の塊です。
菌床を使った栽培方法は日本では最も一般的でシイタケ、マイタケ、ブナシメジ、エリンギ、マイタケ、ナメコなどスーパーなどでよく見かけるきのこ達のほとんどは、菌床栽培の物になります。

【菌床しいたけと原木しいたけ】しいたけにも種類がある!しいたけ苦手も克服できるかも?

かぶとむしの育て方

「カブトムシ」といえば、子供から大人まで、世代を超えて大人気の昆虫です!
夏本番に近づくにつれ、「カブトムシ」を目にする機会も増えてくると思います。

「飼いたい!」と思っている方も少なくないのでは!
しいたけ屋も廃菌床マットを活用するべく、試行錯誤しながら卵からかぶとむしを育てています。
「かぶとむしの育て方」についてご紹介していきます。

かぶとむしを幼虫から育てよう

最初に、「かぶとむしを幼虫から育てる場合」についてご紹介します。
幼虫が無事、成虫になった時の達成感は言葉にできないほどです!

かぶとむしを幼虫から飼育するときに必要なもの

かぶとむしの幼虫を育てる際には以下の5つが必要になってきます。

① 飼育用ケース

【かぶとむしの幼虫をまとめ飼いする場合】
飼育ケースの大きさの目安は、大ケース(13.6L、長辺34センチ、短辺19センチ、高さ22センチ)で、約5、6匹。 ※2Lで1匹が理想的です

【かぶとむしの幼虫を個別飼育する場合】
2Lのペットボトルを飼育ケースにすることがオススメです。
カッターでペットボトルの上部分をカットして使用します。
この方法だと、幼虫の成長過程が観察できるため、運が良ければ羽化する瞬間を見ることができるかもしれません!

② 発酵マット(廃菌床を発酵させたマット)
発酵マットは幼虫のエサになります。私たちは廃菌床を再利用しました。
発酵マットは以下の下準備が必要です。

【発酵マットの下準備】
(1)発酵マットのガス抜きをします。レジャーシートなどに、発酵マットを出します。そのまま、外で1週間放置し、「自然な土」のにおいに変わればOKです。

(2)発酵マットを湿気させます。発酵マットに、手で握った時に水がしたたらない程度の水を加えます。手で握った時に、手の形がつくくらいが理想です。

【発酵マットの敷き方-幼虫用-】
飼育ケースの上部分に隙間ができるように、発酵マットを深さ15センチ〜20センチ程度入れます。
かぶとむしの幼虫は、環境が悪くなったら上に出てくるため、そのための隙間を空けておく必要があります。
決して、飼育ケースいっぱいに発酵マットを入れないでください。

③ 霧吹き
発酵マットが乾燥しないように、表面が乾いてきたなと思ったら水を吹きかけます。

④ 虫よけシート
飼育ケースにコバエが侵入してくるのを防ぎます。
虫よけシートを飼育ケースとフタの間に挟んで対策をします。

⑤ 軍手やスプーン
かぶとむしの幼虫にとって、人間の体温は熱すぎるため、直接触ると弱ってしまいます。
幼虫を飼育ケースに移す際には、軍手やスプーンを必ず使うようにしてください。

かぶとむしの幼虫のお世話

ここまでの準備が整ったら、次に、かぶとむしの幼虫のお世話の仕方を説明します。

かぶとむしの幼虫を飼育ケースに移す前に、発酵マットに幼虫サイズの浅い穴を指で掘ります。
その穴に、幼虫を軍手やスプーンを使って移動させます。(※幼虫を素手で触らないでください。)
幼虫が発酵マットに潜り始めたら、上からふんわりと発酵マットをかけます。
あとは、直射日光の当たらない場所に飼育ケースを移動させ、発酵マットの表面が乾いてきたら霧吹きで水をかけ湿気を保ちます。

かぶとむしとサナギのお世話

かぶとむしの幼虫は、サナギになる前に蛹室(ようしつ)といってサナギの間過ごす空間を発酵マットの中に作ります。
そして、蛹室を作り終えると、幼虫は前蛹(ぜんよう)という完全にサナギになる前の姿になり、とても繊細な状態になります。
※前蛹の姿:幼虫が茶色っぽくなり、動かなくなります。

飼育ケースから蛹室が見えない場合、少し不安になるかもしれませんが、無理に掘り起こしたりしまいでください。
蛹室が壊れてしまうと、うまく成虫になり切れなかったり、死んでしまう場合があります。

かぶとむしの幼虫がサナギになるのは5月以降です。
成虫が地上に出てくるまでは、飼育ケースはなるべく動かさず、そっと見守ります。
この際も、発酵マットの表面が乾燥しているようであれば、霧吹きで水をかけて湿らせます
かぶとむしはサナギになってから羽化するまで、約3週間~1ヶ月、羽化した後は2~3週間程で這い出てきて活動を始めます。

かぶとむしの成虫を育てよう

次に、「かぶとむしの成虫を育てる場合」についてご紹介します。ここでは、「産卵させること」を考えた飼育方法で説明していきます。

かぶとむしの成虫を飼育するのに必要なもの

かぶとむしの成虫を育てる際には以下の7つが必要になってきます。

① 飼育ケース
かぶとむしが窮屈にならないように、しっかりと大きい幅がある飼育ケースを選ぶようにします。
また、発酵マットも15センチ程詰めるので、深さも十分あるものが適しています。

② 発酵マット(廃菌床を発酵させたマット)
かぶとむしが過ごす大切な土です。
こちらも幼虫の時と同様に、下準備が必要です。

【発酵マットの下準備】
(1)発酵マットのガス抜きをします。レジャーシートなどに、発酵マットを出します。そのまま、外で1週間放置し、「自然な土」のにおいに変わればOKです。
(2)発酵マットを湿気させます。発酵マットに、手で握った時に水がしたたらない程度の水を加えます。手で握った時に、手の形がつくくらいが理想です。

【発酵マットの敷き方-成虫用-】
(3)発酵マットを2層に分けて、飼育ケースに詰めていきます。
下の層は、約5センチ、土の表面を押しながら固く詰めていきます。
上の層は、約10センチ、入れていきます。この時、固めて詰める必要はありません。
※下の層(固く詰めた)場所にメスが卵を産みます。たまに発酵マット表面部分に産卵してしまう場合もあります。

(4)発酵マットを飼育ケースに詰め終えたら、フタを閉めて3日間置きます。
3日間経ったら、発酵マットが熱を持っていないか確認します。

確認して熱を持っていた場合はもう一度(1)からやり直してください。

③ 霧吹き
発酵マットの乾燥を防ぐために必要です。

④ 止まり木
飼育ケースの中に、止まり木をいくつか置きます。かぶとむしがひっくり返ってしまった時に、自力で起き上がれるようにするためです。ひっくり返ると体力を消耗してしまうので、かぶとむしの寿命が短くなる原因になります。

⑤ エサ
昆虫ゼリーがおすすめです。
昆虫ゼリーには、かぶとむしに必要な栄養素がバランスよく含まれていて、味もかぶとむしが好む風味になるように開発されています。

かぶとむしと言えば「スイカ」のイメージがありますが、スイカはかぶとむしにとって水分が多く、下痢の原因になります。
また、下痢をすると飼育ケースの中も不衛生になり衛生上良くありません。
スイカが腐るとコバエが発生する原因にもなります。
水分が多く、腐りやすい野菜や果物は極力避けた方が良いでしょう。

⑥ エサ台
かぶとむしがエサを食べやすくするために必要です。また、発酵マットに直接置くと、発酵マットが汚れてしまい、衛生面的にもエサ台はあった方が良いです。

⑦ 虫よけシート
こちらも、幼虫を育てる場合と同じく、飼育ケースにコバエが侵入してくるのを防ぎます。虫よけシートを飼育ケースとフタの間に挟んで対策をします。

かぶとむしの成虫のお世話

ここまでの準備が整ったら、早速、飼育ケースにかぶとむしの成虫を入れていきます。
初めての飼育の場合は、オスとメスを1匹ずつ入れることをおすすめします。
飼育ケースは、直射日光の当たらない涼しい場所に置きます。
エサは、新鮮さを保つため毎日交換してください。
発酵マットの表面が乾いてきたら、霧吹きで水をあげることも忘れずに!

(あすなろのしいたけハウス隣にあるかぶとむしのおうち)

「ふんを肥料に」しいたけとかぶとむしでSDGs 

現代では、SDGs(持続可能な開発目標)がキーワードになっています。
本当なら廃棄されるはずの廃菌床を、昆虫マットとして再利用し自然へと還元していくことは、限りある自然を有効活用する環境にやさしい取り組みと言えます。
また、かぶとむしを育てた廃菌床マットに残ったかぶとむしのふんを肥料として活用することを目指しています。においもなく活用できると考え、SDGsへの取り組みとしても期待したいところです。

自家製の菌床からしいたけ、昆虫を経て野菜生産まで循環できる仕組みを作っていきたいです。

(自然の中にあるあすなろのしいたけ工場と黒瀬川)